南向ダム・発電所と竜西一貫水路を訪ねる(5/30)催行報告
南向ダム・発電所と竜西一貫水路を訪ねる(5/30)
「期間限定」に関するレポート
令和3年5月30日(日)に南信州ふるさと再発見の旅~南向ダム・発電所と竜西一貫水路を訪ねる~が催行されました。昨年も竜西一貫水路のツアーを実施しましたが、お客様から大変好評でしたので、今年も内容を一部変更して実施いたしました。
まず最初に向かったのは、天竜川にある「南向ダム」。天竜川には7つのダムがあり、南向ダムは上流から2つ目にあります。このダムは昭和初期に完成し、今も現役で頑張っています。また、土木学会が推奨する「土木遺産」にも選ばれており、ダムマニアの方も多く訪れるとか?!
当日は先日の雨により水量も多く、水の迫力に圧倒されてしまいました。
南向ダム見学の後は、中川村にある「南向発電所」へ向かいまいた。真っ白な建物が特徴でどこかノスタルジックな雰囲気を醸し出していますね。青い空に真っ白な発電所がとても映えていました。近くには「渡場のイチョウ並木」があり、秋になると・・・イチョウの紅葉、青空、中央アルプスの初雪が揃うこともあり、南信州を代表する絶景スポットです!
発電所上部には南向発電所の建設に深く関わった「福沢桃介」が、好んで使った言葉「水然而火(みずもえてひ)」の、レリーフがあります。南向発電所は福沢桃介が最後に携わった事業だったそうです。“電力王“と呼ばれた福沢桃介に想いをはせました。
さて、ここからは竜西一貫水路を巡っていきます。一貫水路を管理されている竜西土地改良区の方に案内してもらい、立入禁止の場所にも特別に入らさせて頂き見学しました。
竜西一貫水路は、中川村・松川町・高森町・飯田市を通る全長24㎞の農業用水路であり、南向発電所で使われた水の一部を取水して使われています。普段は立入禁止のエリアも、ツアーでは特別に水を取水する施設(頭首工)を間近で見学させて頂きました。ここでも、圧倒的な水の迫力に驚きの連続です・・・
頭首工からスタートした竜西一貫水路は早速、難関「天竜川」を渡ります。ここはサイフォンと呼ばれる技術を使い、川の下をくぐって行きます!建設当時は重機がない時代であり、川の下に水路を作るのも、全て手作業で川の流れを変えて建設されたそうです。現在は、天竜川より約11m下に新しい水路を建設中で、もうすぐ完成するそうです。完成したら今の水路は撤去するそうなので、その工事も気になりますね!
昼食は松川町の大受で頂いた後、午後の部スタート!
午後最初に向かったのは、高森町にある「10号分水工」ここは、水を均等に分ける為に作られた「円筒分水工」があります。ここの円筒分水工は決められた割合で3か所に水を分けています。よく考えられている施設であり、先人の技術に頭が下がります。
竜西一貫水路のだいたい中間地点が飯田市座光寺付近になります。実は麻績の里舞台桜下に流れている水路が竜西一貫水路であり、皆さん驚きの声を上げていました。
飯田市内には松川が流れており、大きな谷を作っています。竜西一貫水路はこの谷もサイフォンの技術を使って通っており、高低差約35mの規模があるそうです!ツアーでは水が吹きあがってくる箇所を見学させて頂きました。ちなみに竜西一貫水路はポンプ等の電気設備は一切なく、全て自然の水圧で水を通しているそうです。凄い・・・
まだまだ続く竜西一貫水路の旅は、松尾城址公園へ。松尾城址公園と鈴岡城址公園は谷を挟んで隣同士にあり、行き来出来るように橋が掛けられています。この橋が竜西一貫水路の毛賀沢水路橋になっています。“こんな所に竜西一貫水路“という感じですね!
ツアー最後の目的地であり、竜西一貫水路の終点の地「天竜峡分水槽」でツアーも終了を迎えます。最後の分水槽はこじんまりした施設となっていました。最後は流れる水の量も少なくなっており、ちょっと哀愁漂う雰囲気も・・・・笑
今回のツアーでは竜西一貫水路のスタートからゴールまでしっかり見学して頂きました。この大規模な農業用水施設を手作業で作ったことに、日本の土木技術の高さに驚かされました。ツアーに参加された方の身近にも一貫水路建設に携わった方もいたりと、皆様いろんな思いを馳せながらお楽しみいただけたのではないかと思います。
今回ご参加された皆様ありがとうございました。