名古屋発着 南信州山城探訪(11/24)催行報告
名古屋発着 南信州山城探訪(11/24)催行報告
「期間限定」に関するレポート
今年で3年目となった「南信州山城探訪ツアー」ですが、今年は、より山城にこだわってみようと、数ある南信州の山城の中でも、山城の特色を往時のまま色濃く残す「西平城」と、日本各地の山城に伝わる白米伝説を、南信州では唯一持つ「神之峰城」を訪ねることにしました。
天気予報は終日曇りの予報で、集合場所の駒場バス停に向かう道中は100m先も見通せないくらいの深い霧。ところが駒場の近くまで行くと、その霧がパッと晴れ、西平城の出発地の浄玄寺に着く頃には日も差してきました。
お客様は11名、愛知県、岐阜県、静岡県の東海3県から足を運んでくれました。先ずは、案内役を務める飯田市教育委員会の羽生さんから、西平城やその周辺の山城、街道等の位置関係、往時の地方豪族の統治、戦国武将の関わり等について、対岸に霧が立ち込めている風景を見ながら説明を受けました。
浄玄寺でお参りをして、いよいよ出発です。お寺の裏山に入るような感じで、登城の道へと向かいました。うっそうとした木立に入ると日差しは遮られ、ひんやりとした空気が漂いましたが、却って、程好い緊張感を覚えました。途中で鹿の噛み跡の付いた木の幹を案内すると、「鹿は襲ってこない?」「ここには熊はいないの?」といった質問があり、答えは「多分大丈夫…」。
「堀切」「切岸」「郭」などの言葉の説明、現場での解説を交えながら、45分程かけて主郭に到着。土塁の切れ目にあったであろう虎口も、説明を聞いて、初めてここがそうなのか、と合点がいきます。実際の現場と専門ガイドの存在の組み合わせにこそ、旅の醍醐味があると実感できる瞬間です。
西平城は城主や築城について記載された文献が見当たらない山城ですが、主郭から眼下に広がる縄張りの様子を見ながら、城の特徴と時代背景、下伊那における軍事的な記載のある古文書の内容を掛け合わせて推察したお話を聞きました。
西平城を後にし、お昼はCOCORO FARMで南信州野菜のブッフェと肉か魚のどちらかを選べるランチコースです。他にもツアーバス客や個人客がおられ、レストランは満員札止めでした。食後はつい1週間前に開通した天龍峡大橋を渡り、途中くっきりと神之峰の山姿を臨みながら、15分程で神之峰城のそばに到着。
こちらは山頂近くまで車で行けたので、登坂箇所も殆どなく、快調に主郭近くへと着きました。すると、そこには地元上久堅地区のまちづくり委員長さんと武将倶楽部の会長さんが出迎えておられました。ちょっとした地域の方々とのふれ合いは嬉しいものですね。
ここでも、羽生さんから、城主の知久氏と武田氏との戦いにおける白米伝説やジタジタ峠の謂れなどのエピソードを交えながら、城跡の説明を聞きました。伊那谷一帯を見渡せる景色にも歓声が沸き起こり、この2つの山城を選んで良かったと感じました。
城の案内の後は、城下にある郷土館で武将倶楽部の方による地域での活動の説明、今朝の霧にむせぶ神之峰城の写真のご披露、地元の伝統野菜「小野子ニンジン」とりんごのミックスジュースのお振舞を頂きました。2つの山城を踏破?した後のジュースは格別の味!
神之峰城を後にし、最後は、喬木村にある知久氏ゆかりの茶室「曙月庵」で、地元のお茶会グループによる呈茶と、喬木村の歴史民俗資料館の元館長さんから、知久氏の陣屋にまつわるお話をお聞きしました。御庭の紅葉が真っ盛りで、庭先に置いてくれた阿島傘とのコントラストも絶妙でした。
もっともっと、ゆったりして頂きたいと思ってしまう空間でしたが、たちまちに時間は過ぎ、一路りんごの里へと向かい、予定通りの時間に到着しました。お車でお越しの方も、高速バスでお帰りになる方もそれぞれ、無事に帰路へとつかれました。
山城ツアーはこれからも続けます。またお会いできる日を楽しみにしております。一足早いですが、皆さまどうぞ良いお年をお迎え下さい。
Staff mac